構造解析ソフトウェア Advance/FrontSTR 大規模構造解析を実現するアセンブリ解析機能

※下記に掲載した解析については、東京大学 人工物工学研究センター 奥田 洋司 教授にご指導をいただき、当社で実施したものです。

背景と従来からの課題

従来の構造解析は、あらかじめクリティカルになる部位を設計者が想定し、その部位に対する解析を行うことが一般的でした。ところが、近年の計算機能力の飛躍的向上により、製品や構造物をまるごと解析するというニーズが産業界で高まっています。

この問題解決方法にはいくつかのアプローチがありますが、これまで当社は大規模な構造解析を可能とするというアプローチをしてきました。また、一方で、大規模なメッシュをどのように作成していくかという課題がありました。

Advance/FrontSTRで実現した機能

当社では、この課題を解決すべく、当社のプリポストと構造解析ソフトウェアで「アセンブリ解析機能」を実現し、リリースいたしましたのでお知らせします。本機能を利用することで、部品毎に作成したメッシュを用いて、まるごと解析が可能です。

具体的には、部品間の接合境界面を指定することにより、各部品ごとの個別メッシュをアセンブルします。アセンブルしたデータをまるごとソルバに渡すことにより解析が可能です。

「アセンブリ解析機能」利用方法

「アセンブリ解析機能」を利用するためには、まず、部品毎にメッシュを作成します。ユーザーはメッシュを作成しやすいように、解析対象全体をいくつの部品に分解しても、本ソフトウェアを利用することでまるごと解析が可能です。次に、プリポスト(Advance/REVOCAP) を利用して、部品の接合面を定義します。

すなわち、プリポスト(Advance/REVOCAP) でMPC(MPC:多点拘束条件 Multiple Point Constraint) 条件を自動生成します。そこで完成した入力データをソルバ(Advance/FrontSTR) に渡します。ここでは、MPC条件を大規模計算向け自由度消去法を利用して、高速な大規模並列計算を行います。計算結果については、従来からのプリポスト (Advance/REVOCAP) の機能で高速表示(2GBのPCで1000万自由度程度の表示)が可能です。

図1 アセンブリ機能利用方法

「アセンブリ解析機能」の性能

「アセンブリ解析機能」では、反復法ソルバでのアセンブリ構造解析を大幅に効率化しています。この機能の実現には、MPC条件の処理に大規模計算向け自由度消去法を利用しています。

ペナルティ法との比較

本手法の採用により、従来のペナルティ法を利用した場合と比較して、10倍の高速化を図っています。

図2 本手法とペナルティ法との比較

一体型モデルとの比較

MPC条件を利用するため、アセンブリ構造では一体型モデルのよりも若干の性能は劣ります。しかし、本手法の採用により、倍程度の処理時間で処理できることがわかります。以下は、8コア並列で実施した計算です。実行時間は、一体型で942秒、MPC接合型で1848秒でした。

要素タイプ計算ケース要素数節点数MPC節点数
四面体一次一体型1,119,375322,322
四面体一次MPC接合型1,119,375325,5363,214
表1 本手法と一体型モデルとの収束状況の比較条件
図3 本手法と一体型モデルとの収束状況の比較
(MPC:多点拘束モデル no MPC:一体型モデル)
図3 本手法と一体型モデルとの収束状況の比較

「アセンブリ解析機能」の解析事例

解析対象と解析条件

「アセンブリ解析機能」を利用した実用的な例題として、パイプラインの部分モデルの解析を実施しました。計算モデルは、パイプ部品を組み合わせたパイプラインのモデルに、ボルトを付加したものです。パイプラインは、直管が2本と、分割直管が2本、曲り管が1本あります。

また、ボルトは、1個所8本で、2個所あります。ボルトはMPCで接合し、ボルト締付軸力に相当する分布荷重をボルトヘッドの両面に負荷する。解析対象全体には、管の先端に強制変位を与え、線形静解析を行いました。

図4 解析条件

計算モデル

要素タイプ計算ケース要素数節点数MPC節点数
四面体一次MPC接合型1,547,231414,51210,053
表2 本手法と一体型モデルとの収束状況の比較条件
図5 アセンブリモデル
図5 アセンブリモデル

計算結果

本計算は、8コア並列で実施しました。実行時間は、2672秒でした。

図6 アセンブリモデルでの収束状況
図7 全体のミーゼス応力分布
図8 ボルト部分のミーゼス応力分布

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