アドバンスシミュレーション Vol.17, 松原 聖, 中森 一郎, Munt[1]らによると1960年代半ばのMichelらやRonnebergerの実験により、高速な流れが排出されるダクト開放端における音響反射率が1.0を超えるという実験結果が示されてきました。この現象は、もちろんエネルギーの保存則を満たさない現象であるということではなく、その後にも多くの論文でこの実験結果のトレースが行われています。また、1990年にはMunt[1]により、この現象の理論的な裏付けが示された論文が発表されました([1]の最初の投稿は1970年代後半です)。

そこで、われわれは、ここで生じている1.0を超える反射率をシミュレーションで再現し、その結果をMuntによる理論解や実験結果の文献と比較することを目的として、当社で開発した音響解析ソフトウェアAdvance/FrontNoiseによりダクト開口端反射率のシミュレーションを行いました。

また、われわれは本事例を連成計算のひとつの事例としても位置付けています。本解析では、まず、流れ場をGoertlerの式[2](フランジを持つダクト端からの噴流)により近似的に与え、その定常流れ場での音響解析を実施しました。その次に、流体音響の連成解析として、当社で開発した高速流体を対象とした圧縮性流れ解析のソフトウェアAdvane/FrontFlow/FOCUSにより得られた流れ場を用いて音響解析を実施しました。

本稿では、本解析の理論的な背景と利用した解析手法・解析結果を示すことにより、われわれの取り組みを紹介します。ここでは、定性的に妥当な結果を得られました。ただし、定量的にはMuntらの結果を十分に再現していないため、検証を継続しています。本稿では、第1報という位置付けで報告します。

[1] R.M.Munt,"Acoustic Transmission Properties of a JetPipe with Subsonic Jet Flow:I. The Cold Jet Refrection Coefficient,"Journal of Sound and Vibration, 142(3), 413-436. 1990

[2] 社河内 敏彦,"噴流工学―基礎と応用,"森北出版株式会社(2004)(PDF:1,319kB)

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