独自の深層学習モデルで密度汎関数理論の大幅な高速化を実現した新製品です。
革新的な材料シミュレーション技術に興味のある方は、ぜひお問い合わせください。

1964年に Hohenberg と Kohn によって基底状態エネルギーが電子密度の汎関数で表現できることが示され、密度汎関数理論(DFT)として今日の材料シミュレーション分野に多大な貢献をしてきました(Phys.Rev. 136 B864 (1964))。しかしながら、現在使われている DFT は Kohn-Sham DFT(KS-DFT)と呼ばれ、電子系の運動エネルギーの計算に密度汎関数ではなく波動関数(軌道)を使っています(Phys.Rev.140 A1133 (1965))。

軌道を用いたことで精度は向上したものの、原子数 N の 3 乗に比例する大きな計算コスト O (N^3) が要求され、1,000 原子以上の大きなモデルを PC で手軽に計算することは困難な状態にあります。
一方で軌道を使わない本来の DFT は Orbital-Free DFT(OF-DFT)と呼ばれており、計算コストが低く(O(N))、容易に大規模系の計算ができます。OF-DFTの実用化に向けて、中国や米国の研究機関を中心に今もなお運動エネルギー汎関数の改良が進められていますが、未だ完全な解決には至っていません。

2025年、アドバンスソフト株式会社は、独自開発の深層学習モデルを適用することで運動エネルギーの問題を解決しました。

具体的には、グラフ理論(Graph)を連続多変数空間に拡張した汎グラフ理論(Graphical)という新しい数理モデルを開発し、これを Neural Netowrk と組み合わせつつ、空間を複数回畳み込むことで 20Å ほど遠距離の相関を運動エネルギー汎関数に繰り込んだ深層学習モデルです。その結果、汎用的で実用的な運用に耐えうるレベルの運動エネルギー汎関数の開発に世界では初めて成功し、DFT 計算の大幅な高速化を実現しました。

本セミナーでは、世界初の深層学習運動エネルギー汎関数 AdvanceSoft 25、および、これを実装したソフトウェア製品 Advance/OF-DFT を使った解析事例についてご紹介いたします。また、化学環境に応じて可変な擬ポテンシャル(Adaptive Effective Pseudo-Potential; AEPP)を含む今後の開発ロードマップ、当該ソフトウェアを用いたサービス内容などについてもお示ししました。

1)深層学習運動エネルギー汎関数 AdvanceSoft 25
  • 現在の DFT と材料シミュレーション
  • OF-DFT における運動エネルギー汎関数の各国の開発状況
  • 汎グラフ理論を用いた深層学習モデル
  • AdvanceSoft 25 の定式化
2)機械学習DFT計算ソフトウェア Advance/OF-DFT
  • 実装内容と機能紹介
  • 金属および半導体を中心としたベンチマーク結果
  • KS-DFT および GNN 力場との計算時間比較
3)今後の開発ロードマップ
  • 可変擬ポテンシャル(AEPP)による全元素対応
  • 不変汎グラフから等価汎グラフへ
4)Advance/OF-DFT を用いたサービス
  • 製品導入、ベンチマーク、解析サービスなど

密度汎関数理論や機械学習力場を用いた昨今の材料シミュレーションに、革新をもたらす新技術です。
材料シミュレーション and/or 機械学習 にご興味をお持ちの方のお問い合わせをお待ち申し上げます。 (PDF:7,697kB)