アドバンスシミュレーション Vol.32, アドバンスソフト株式会社 三橋 利玄, 高橋 淳郎, 大西 史倫, 浜野 明千宏, 一般に熱流動計算では大量の水蒸気凝縮が生じると計算不安定になることが多く、計算時の時間刻み幅が大きく制限されます。Advance/BAROCではこれを克服するために水蒸気の凝縮項の線形化を工夫し、質量保存式、エネルギー保存式、水蒸気成分の対流拡散方程式に適用しました。さらに、質量保存性を高めるために、質量保存式に物質成分の拡散項の総和を加え、成分濃度の正規化を行わなくても良いように改良を加えました。これにより、原子炉建屋の3次元熱流動計算において16時間で150トンにも及ぶ大量の水蒸気が流入し、90%以上の水蒸気が凝縮しても、Courant数が15万以上の時間刻み幅に相当する1時間としても安定に計算できることを確認し、さらには、酸素、窒素、水素などの質量が所定の質量と一致していることを確認しました。
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