アドバンスシミュレーション Vol.33, 井田 喜明, 均質な小さな人間集団に心理空間の概念を適用して統治者の選択に国民の意思がはたらく過程を数値シミュレーションで究明します。統治者のはたらきかけやメンバーの対応が独裁者の発生にどう寄与するかについてシミュレーションから次の結論を得ます。メンバーの接触は信認と不信認の割合に顕著なばらつきをもたらし、特定な統治者による統治を長続きさせません。集団の状態についての偽装が強くはたらくとメンバーの信認は上向くが、その効果は集団の劣化で弱められ、メンバーの接触で壊されます。統治者による威嚇やメンバーの忖度はある程度以上に強くはたらくとみかけの信認度を高め、信認の上昇と強め合って統治の固定化を招きます。これらの結論を要約すれば、メンバー間の自由な交流は統治者の交代を促すが、統治者の威嚇やメンバーの忖度は独裁者を生む重要な原因になります。(PDF:1,086kB)
