第一原理計算ソフトウェア「PHASE」を用いた最新の解析事例3選をご紹介します。

アンモニア合成の鍵を握る触媒表面の反応機構、急速充電における電池材料の破壊リスク評価、そして電極界面におけるポテンシャル障壁の制御。原子レベルのシミュレーションがいかにして実用的な設計指針(記述子や粒子径制御など)へと昇華されるのか、そのプロセスを凝縮しました。

研究開発における「実験の羅針盤」として、また現象の深層理解を助ける「ミクロの眼」として、計算科学が果たす役割をぜひご覧ください。


1. Mo(110)表面へのN2分子の吸着:DFT計算を用いた基礎検討

http://case.advancesoft.jp/PHASE/basic_mo_n2_adsorption/index.html

アンモニア合成触媒の活性成分である Mo(110) 面を対象に、N2 分子の吸着挙動を DFT 計算で解析した事例です。計算の結果、解離吸着が分子状より約 2.8 eV 安定であり、Mo 表面が強固な N≡N 結合の切断に対し高い活性を持つことが確認されました。分子状吸着が解離の前駆体として機能する物理的機構を明らかにするとともに、今後は NEB 法による反応障壁算出や、記述子を用いた精密な触媒活性予測への展開が期待されます。

2. DFT計算とマクロモデルの連携によるLiCoPO4正極の急速充電・破壊リスク解析

http://case.advancesoft.jp/PHASE/battery_simulation/index.html

次世代電池正極材 LiCoPO4 を対象に、第一原理計算とマクロモデルを連携させたマルチスケール解析の事例です。 DFT 計算で得た活性化エネルギー等の物性値を単粒子モデルへ適用し、急速充電時の電圧挙動や粒子破壊リスクを評価しました。5C 充電下では拡散誘起応力が材料強度を超える可能性が示され、容量確保と破壊回避を両立する指針として粒子半径を 80nm 以下に制御する有効性を定量的に明らかにしています。

3. 帯電金属表面突起によるポテンシャル障壁変調の第一原理計算

http://case.advancesoft.jp/PHASE/esm_potential_barrier/index.html

ESM法を用いて、電極界面におけるポテンシャル障壁を解析した事例です。第一原理計算に基づき、電極への電荷注入が界面のポテンシャル勾配や電子状態に与える影響をシミュレーションしました。解析の結果、表面電荷密度に応じた仕事関数の変化やポテンシャル障壁の定量的評価が可能となり、界放出ディスプレイや走査型トンネル顕微鏡(STM)探針など、ナノスケールの形状制御が性能を左右するデバイスの設計指針を得るための有効な手法であることが示されています。


以上、2026年03月12日のピックアップ記事でした。各解析事例の詳細は、リンク先の記事全文をご覧ください。