アドバンスシミュレーション Vol.32, アドバンスソフト株式会社 菊池 愛子, 木村 春里, 地盤内部の速度構造については従来より地震波の計測値を用いた走時トモグラフィーやフルウェイブインバージョンなどにより広域地盤の速度構造の推定が行われてきました。一方、最近は地下の陥没事故などが頻発しており、浅部地盤の構造を推定するニーズが高まっています。しかし地表付近の地盤においては横波速度の影響が大きいため音響的なアプローチでは不十分で、有限要素法や有限差分法等を用いて弾性方程式を解く必要があると考えられます。またフルウェイブインバージョンでは初期の速度構造地盤の応答を観測波形と比較しながら残差を最小化する速度構造を求める逆解析が行われていますが、多大な計算負荷や初期値依存性、局所解に陥る問題が指摘されています。本報ではこの問題の解決のために有限要素法による地震波動解析とCNNによる機械学習の組み合わせで地表の地震波から地下の構造を逆推定することを試みました。その結果、地下の地層境界や空孔の形状の推定に、この手法が有効であることを見出しました。
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