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【開発事例: 防災】 水圧破壊で割れ目を拡大しながら上昇するマグマ


マグマ上昇過程のシミュレーション

マグマは地下に新しい割れ目をつくって上昇し、火山の山腹などに割れ目噴火を起こす。この現象の解析には、マグマの粘性流動、マグマを囲む地殻岩石の弾性変形、割れ目先端部の破壊、熱の拡散にともなうマグマの冷却などの多様な物理現象を考慮する必要がある。複雑な物理過程に対処するために、数値計算に複数の解析解を組み込んでシミュレーションを実行する計算コードを開発した。

マグマの上昇は数 km にわたるが、マグマを含む割れ目の幅は数 m 程度なので、マグマの流れはポアズイユ流で表現し、周囲の岩石には割れ目の幅に対応する水平変位が加わるものとする。割れ目近傍の弾性変形は解析解の重ね合わせで表現して、先端の応力集中は応力拡大係数の解析的な数式で見積もり、腐食破壊や脆性破壊による割れ目先端部の進展を計算する。熱の拡散は割れ目のごく近傍で 1 次元的に起こるものとする。これらの過程を数値的につなぎ合わせてシミュレーションを実行するのである。

以下にシミュレーション結果の 1 例を紹介する。


上部が分離して上昇するマグマ

マグマの上昇は、マグマだまりの圧力やマグマにはたらく浮力によって駆動され、マグマの粘性抵抗によって抑制される。上昇の様相は駆動力と抑制力の兼ね合いで決まる。駆動力が勝ると、マグマは割れ目を拡大させながら地表まで加速的に上昇する。逆に抑制力が勝ると、マグマは上昇を始めても減速して途中で停止する。

この 2 つの条件の中間で、マグマの上部が分離して上昇する解が得られる(図1)。割れ目の内部では、マグマは上部に集まって膨らみをつくる傾向があるが、ときには下部が閉じて上部が分離し、上部のみが一定の形状を保ちながら一定速度で上昇して地表に達する。

図1. 割れ目を拡大して時間とともに上昇するマグマ

図 1. 割れ目を拡大して時間とともに上昇するマグマ



マグマのまわりの弾性変形

マグマの存在によってまわりの岩石には弾性変形が生じる。その反作用でマグマには圧力が加わり、割れ目先端部では応力拡大係数が変化する。上昇過程の追跡の際に計算される弾性変形の内で水平変位の分布を等高線図で図 2 に示す。マグマは図の左端に分布し、割れ目のふくらみの影響でそのまわりには大きな変位が生ずる。

図2. 貫入面(左端)周辺の弾性変形。10.42hr経過後の水平変位。

図 2. 貫入面(左端)周辺の弾性変形。10.42 hr 経過後の水平変位。



研究開発センター:国立研究開発法人防災科学研究所との共同研究


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