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【開発事例: AI技術】波形を用いた火山性地震の分類(防災科学技術研究所様との共同研究)

分類への波形の利用

私たちのまわりには音波や電磁波などのさまざまな波形が存在し、波形を比較し分類することが必要になる場合も少なくありません。 ところが、波形は振動の継続時間がそれぞれ異なるために、多数の波形を定量的に比較して分類する方法が限られます。

ここでは火山で観測される地震(火山性地震)を例に、AI技術を用いて波形を分類する方法を紹介します。同じ方法は他のさまざまな波形にも適用できます。


波形の比較と分類

波形を構成する各時刻のゆれの並びをベクトルとみなします。成分数が異なるベクトルの間で、違い(逆にいえば類似性)を定量化する方法にdynamic time warping (DTW)法があります。この方法は、2つのベクトルの成分がつくる平面上で成分間の差が最小になるような経路を探して、その経路に沿う差の合計(これをcostとよびます)を計算します。

波形間で違い(cost)が定量化できたら、違いが小さいもの同士を集めてグループをつくり、波形を分類します。分類にはk-means clustering法が適用できます。この方法は、分類数を指定して分類毎に中心波形を決め、それぞれの波形を一番違いの少ない中心波形をもつグループに所属させます。適切な中心波形の選択と全波形の所属の決定は反復法で計算します。

桜島火山で2015年8月15日 6時~16時に観測された90個の火山性地震の波形に対して、この方法を適用しました。波形には発生順に0から89までの番号をつけ、それを3つに分類しました。グループをA(44波形)、B(31波形)、C(15波形)として、図1にその分布を色分けします。図の横軸はグループAの中心波形(波形番号59)からのcost、縦軸はグループCの中心波形(38)からのcostです。

図1 波形をA、B、Cの3つに分類

図1 波形をA、B、Cの3つに分類



波形の特徴

3グループの中心波形を図2に比較して、分類の特徴をみます。グループAは初期に大きなゆれ幅をもちますが、ゆれはすぐに小さくなります。Bも初期に大きなゆれ幅をもちますが、ゆれの減衰はAより穏やかです。Cは減衰がさらに遅く、類似な大きさのゆれが長時間続きます。分類は主に波形のこのような特徴に根ざすようです。

図2 分類A、B、Cの中心波形

図2 分類A、B、Cの中心波形



火山性地震が顕著に発生する時間帯

火山性地震の各グループが主にどの時点で起きているかを、地震の数の累積図(図3)でみます。地震は全体として10時30分から12時ころにかけて顕著に発生していますが、この時間帯に桜島火山の火口直下に板状のマグマが貫入したことが震源や地殻歪の観測結果から分かっています。累積図からみると、グループAは貫入の後半に、グループBは貫入の初期に顕著に起こり、グループCは貫入の中ごろに集中する傾向がみられます。地震が貫入に関与する仕方はグループ毎に異なるのかもしれません。

図3 火山性地震の累積数の時間変化

図3 火山性地震の累積数の時間変化



研究開発センター;国立研究開発法人 防災科学技術研究所様との共同研究

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