【解析事例: ナノ】 XPSスペクトルのシミュレーション
XPSスペクトルのシミュレーション
[課題]
XPS (X-ray Photoelectron Spectroscopy:X線光電子分光) は、X線を物質に照射し、放出される光電子のエネルギーを測定することにより、物質表面の元素の種類およびその電子状態を知るための強力な実験手段です。
測定結果を精度良く解釈するためには、内核電子まで含めた物質の電子状態を知ることが重要です。
[解決策]
第一原理バンド計算ソフトウェアAdvance/PHASEは擬ポテンシャル法を採用していますので、内核電子の状態を知ることはできません。
しかしながら、Advance/PHASEに「内核の電子を除去した擬ポテンシャル」を用いると、原子のXPSエネルギーを計算 [1]することができます。
(注)パッケージソフトAdvance/PHASEには、内核電子を除去した擬ポテンシャルは付属しておりません。本機能のご利用は受託解析に限らせていただきます。お気軽にお問い合わせください。
[事例]
Advance/PHASEによるSi(001)表面のXPSの解析事例をご紹介します。
図はSi(001)表面スラブモデルを示しています。
表面再構成が起こり、バックリングしたダイマーがp(2x2)構造を形成しています。X線をSi結晶(表面)に照射すると、2p軌道の電子が光電子として飛び出し、XPSスペクトルが観測されます。
「2p軌道の電子を除去したSiの擬ポテンシャル」を用いてAdvance/PHASEで計算した結果と実験値を表に示します。
最表面のSi原子に注目すると、真空側に飛び出た原子(1u)とバルク側に沈み込んでいる原子(1d)があり、XPSエネルギーが大きく異なることが期待されます。Advance/PHASEで計算した値は実験値と良く一致しています。
図.Si(001)表面構造とAdvance/PHASEによるXPSエネルギーの計算値と実測値 [2]
(3d位置のSi原子をエネルギー基準)
[参考文献]
[1] “Evidence for site-sensitive screening of core holes at the Si and Ge (001) surface”, E. Pehlke and M. Scheffler, Phys. Rev. Lett. 71, 2338 (1993).
[2] “Core-level spectroscopy of the clean Si(001) surface: Charge transfer within asymmetric dimers of the 2 × 1 and c(4 × 2) reconstructions”, E. Landemark, C.J. Karlsson, Y.-C. Chao, and R.I.G. Uhrberg, Phys. Rev. Lett. 69, 1588 (1992).



