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【解析事例: バイオ】 フラグメント分子軌道法計算による分子相互作用の精密評価

【解析事例: バイオ】 フラグメント分子軌道法計算による分子相互作用の精密評価

[課題]
 現在、Protein Data Bankには5万を越えるタンパク質やDNAなどバイオ関連分子の立体構造が登録され、構造生物学的な研究が活発におこなわれています。このような膨大な構造情報から有益な情報をどのように取り出したらよいのでしょうか? 立体構造中の原子分子間の距離や角度等の幾何学的な情報だけで議論を終わらせていませんでしょうか?

[解決策]
構造情報を活かすひとつの鍵となるのは分子相互作用です。タンパク質を構成するアミノ酸残基は周辺から固有の分子相互作用を受けており、タンパク質構造はアミノ酸残基同士の分子相互作用の絶妙なバランスの結果です。また、タンパク質はそれ自身で機能するわけではなく、基質、補欠分子族やリガンドなどと呼ばれる低分子化合物あるいはペプチド、金属イオン、DNA、糖質や別のタンパク質などが結合し、複合体構造によって自身の機能を発揮するものが数多く知られています。複合体形成に関与する分子間相互作用を正確に理解することは、構造や機能発現の解明につながっていきます。生体分子の分子相互作用を精密に評価できるAdvance/BioStationのフラグメント分子軌道法(FMO法)計算は、このような問題解決の有益なツールとして、ご利用できます。

[当社ではなぜできるのか?]
弊社では、バイオ関連分子のFMO法計算が可能なソフトウェアであるAdvance/BioStationを取り扱っております。Advance/BioStationは東京大学生産技術研究所計算科学技術連携研究センターが実施した文部科学省ITプログラム「戦略的基盤ソフトウェアの開発」プロジェクトのBioStationの商用ライセンスの許諾を受けて、独自に改良したものです。弊社は2002年よりBioStationの開発に参画しており、FMO法計算を利用した新しい機能コード開発も可能です。また、大学・研究所・民間企業様よりFMO法計算の受託解析サービスも承っております。お客様の抱える問題に対してFMO法計算でどのように活用できるのか、まずはお気軽にご相談ください。

[事例]
フラグメント分子軌道法(FMO法)計算による分子間相互作用情報を活用した事例をご紹介します。

事例1:HIV-1プロテアーゼとリガントとの相互作用解析
事例2:Trp-Cageの構造安定性解析

事例1: HIV-1プロテアーゼとリガントとの相互作用解析

HIV-1プロテアーゼは、HIVウィルスの増殖過程で重要な働きをする酵素タンパク質です。ロピナビルは、このHIV-1プロテアーゼに結合し、その働きを阻害することで、HIVウィルス増殖を抑える医薬品です。ここでは、HIV-1プロテアーゼダイマー-ロピナビル複合体のフラグメント間相互作用解析によって、それらの結合様式を解析した事例について紹介します。ロピナビルはプロテアーゼダイマー中のアミノ酸残基Asp25(A-chain、B-chain)およびAsp29(B-chain)とは静電相互作用、Ile50(A-chain、B-chain)とは主にファンデルワールス相互作用により、強く結合的に相互作用することが分かりました(下図参照)。

HIV-1プロテアーゼとリガントとの相互作用解析
図.PHIV-1プロテアーゼとリガントとの相互作用解析
(ロピナビルとその近傍アミノ酸残基はMP2法、それ以外はHF法に基づいたMLFMO法計算)

このような医薬品-アミノ酸残基間の結合に関する詳細な情報は、ファーマコフォアの同定や活性の向上を目指した医薬品設計に活用することができます。

事例2: Trp-Cageの構造安定性解析

20個のアミノ酸残基から構成されるミニ蛋白質Trp-Cage (PDB code 1L2Y)のTrp残基の側鎖配向構造の安定性解析を紹介します。この蛋白質内のTrp側鎖がある決まった配向構造をとるのは、周辺から特定の分子相互作用を受けているためです。下図に示したのは、FMO-MP2/6-31Gレベルで計算したTrp-CageのTrp6残基と周辺アミノ酸残基との相互作用エネルギーです(括弧内のエネルギー単位はkcal/mol)。フラグメント分子軌道法計算から、Pro17はTrp6側鎖と最も強く相互作用しており、Trp6の側鎖の構造安定に最も重要なアミノ酸残基であることがわかります。

Trp-Cageの構造安定性解析
図.Trp-Cageの構造安定性解析

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